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空き家は固定資産税が6倍に?利用できる特例や適切な対処法を紹介

投稿日:2022年5月23日 更新日:

空き家

総務省が5年ごとに行う住宅・土地統計調査(2018年)によると、全国の空き家数は846万戸です。1988年は394万戸だったので30年間で2倍以上と大幅に増加し、空き家問題は社会問題となっています。

この記事では空き家における固定資産税の問題点や対策、利用できる特例について紹介します。空き家を所有している方はぜひ参考にしてみてください。

空き家は固定資産税が6倍に?

空き家には、倒壊や放火、不法投棄などのおそれがあります。
空き家対策を目的とした「特定空き家等」に指定されると、固定資産税の負担が最大で6倍になってしまう可能性があります。

ここでは、特定空き家等をはじめ、空き家に関する固定資産税について紹介します。

特定空き家等とは

特定空き家等とは、放置しておくと周囲に悪影響を及ぼす危険があると判断される空き家のことです。2015年に施行された「空き家等対策特別措置法」により規定されました。

市町村長は、特定空き家等の所有者または管理者に対して、必要な措置を取るよう助言や指導をし、改善がない場合は、相当な猶予をつけて勧告できます。

この勧告により、特定空き家等は固定資産税の「住宅用地の特例」から外れることとなります。

住宅用地の特例とは、下記のとおりで土地に住宅が建っている場合、土地の面積に応じて固定資産税が軽減される制度です。

土地の種類 固定資産税の算出方法
住宅の敷地で200㎡以内の部分 固定資産の価格(評価額)×1/6
住宅の敷地で200㎡を超える部分 固定資産の価格(評価額)×1/3

住宅用地の特例から外れるとは、固定資産税の算出時に軽減がなくなることを意味します。

誰が払う?いつから払う?

固定資産税は、土地や家屋などの固定資産にかけられる地方税です。
その年の1月1日現在の所有者に課税されます。そのため、空き家の固定資産税を払うのは空き家の所有者です。

所有者が故人で固定資産税が未払いの場合は、相続人に納税義務が発生します。
まだ遺産分割が終わっていないときは、法定相続分で分担したり、代表者が支払ったりします。

その後、空き家を相続する相続人が確定したら、翌年以降からは新所有者が空き家の固定資産税を支払うこととなります。

払わないとどうなる?

空き家の固定資産税を払わないと、遅延金の発生と差押えのリスクが発生します。

たとえば、滋賀県彦根市で納税期限までに払わなかった場合は、最初の1カ月は上限7.3%、1カ月経過後は上限14.6%と納付の日までの日数に応じ、延滞金が加算されます。

「空き家だから」と固定資産税の支払いを放置せず、早めの対処が必要です。

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空き家に利用できる特例や控除・補助とは

国や自治体は、空き家対策として、空き家に利用できる税金対策や控除、行政の補助などに積極的に取り組んでいます。

ここでは、空き家に利用できる特例や控除や補助について紹介します。

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」とは、空き家の発生を抑制するために設定された特例です。空き家特例とも呼ばれています。

相続した空き家を売却して利益が出た場合、一定の条件を満たしていれば3,000万円の特別控除が適用されます。

耐震性のない空き家を減らす目的から、1981年5月31日以前に建築された建物(区分建物を除く)が対象です。

主なポイントは下記のとおりで、詳しく条件は国税庁の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」に掲載されています。

  • 相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡であること
  • 売却金額は1億円以下であること
  • 親子間など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

低未利用土地等を500万円以下で売った場合の控除

都市計画区域内にある一定の低未利用地等を500万円以下で売却した場合は、譲渡所得から100万円を控除できます。
低未利用地とは簡単にいえば、利用されていない建物や土地などのことで、以下のようなものが該当します。

  • 空き家や空き地
  • 工場跡地
  • 青空駐車場
  • 資材置き場

主な利用要件は所有期間が5年以上であることや、売却額が500万円以下であることが挙げられますが他にも下記の要件を満たす必要があります。

  • 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
  • 売った後に、その低未利用土地等の利用がされること
  • 2020年7月1日から2022年12月31日までに売却したものであること

詳しく条件は国税庁の「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」に掲載されています。

空き家対策に使える補助金や助成金の調べ方

各自治体は地域独自の条例を制定して空き家対策に取り組んでいます。その一環として挙げられるのが、解体・改修・取得に関しておこなわれる補助金・助成金制度です。

ただし、地方自治体によって空き家対策の取り組みは異なります。
そのため、「地方公共団体による空き家対策支援制度」の検索サイトを利用するのは有効な手段です。

しかし、補助金や助成金の予算には限りがあり、予算に達し次第、締め切られてしまいます。最終的には、空き家のある地方自治体のウェブサイトでの確認がおすすめです。

空き家解消に向けた滋賀県彦根市の取り組み

滋賀県の「空き家対策総合支援事業」では、空き家除去への補助事業に対して補助率が1/5、限度額が10万円の支援を受けられます。

改修に対する取り組みでは、「滋賀県子育て世帯空き家リノベーション事業費補助金」にてリフォーム費用に対する一定額の補助を受けられます。補助率・限度額は市町により異なります。

取得に関して、彦根市では「住宅取得費補助金」として周辺の6市町を除いた市外からの移住者を対象に、補助率1/10、限度額50万円の補助を受けられます。

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適切な対処法家の模型を持ち悩む男性

空き家について、固定資産税を払う義務があることや、特定空き家等に指定されないよう適正に管理しないと不利益になることを紹介しました。

ここでは、空き家の適切な対処法を3つ紹介します。

無償譲渡する

空き家を手放したくても、立地条件や状態が悪い場合は、無償譲渡という方法が考えられます。無償譲渡とは、代価をもらうことなく所有物を譲り渡すことで、契約としても有効です。

歴史的価値や公共施設に利用できるほどの広さがある場合などは、自治体へ寄付するという形態もあります。

しかし、主な形態は個人へ譲るか、法人へ譲るの2通りで、隣地の地権者や、立地の特性を生かせそうな事業者に打診すると効果的です。

ただし、たとえ無償であっても税金が課税される点には注意が必要です。
取引当事者と税金の組み合わせは下記のとおりです。

取引形態 売主 買主
個人から個人へ無償譲渡 非課税 贈与税、不動産取得税
個人から法人へ無償譲渡 所得税 法人税、不動産取得税

以上のほか、譲渡後に瑕疵が発覚したときの責任など、注意すべきことが多数あります。
無償譲渡を検討する前に、空き家がある地域の不動産会社に相談することがおすすめです。

賃貸にだす

空き家を賃貸にだすという方法もあります。

状況によってはリフォームする必要もありますが、入居者が決まれば家賃収入が入るほか、人が住むことで、空き家にしておくよりも建物の劣化を抑えられます。

ただし、将来的に自分が相続した家に住むためには、一般的な賃貸契約である普通借家契約ではなく、契約期間に定めのある定期借家契約などを用いる必要があります。

しかし、定期借家契約は借主にとっては不利な契約であるため、相場よりも低めの家賃設定となることが一般的です。

また、家を賃貸にだすということは、貸主になるということです。
給湯器や水廻りの故障など、住まいに不具合が生じたら修繕したり、大きなトラブルが起きないよう入居者の人柄を見極めたりと、貸主としての役割が求められます。

そのため、空き家を賃貸にだす際には、戸建ての賃貸に詳しい地元の不動産会社に相談することが大切です。賃貸の仲介と併せて賃貸管理も依頼することがおすすめです。管理手数料はかかりますが、貸主が行う賃貸管理を安心して任せられます。

売却する

空き家は将来住む予定がなければ、早めの売却がおすすめです。

空き家の売却は、おおまかに分けると「そのままの状態で売却する」と「解体して更地で売却する」の2つがあります。

そのままの状態で売却するとは、中古住宅または古家付き土地での売却を指します。
中古住宅はリフォーム費用、古家付き土地は解体費用を買主が負担するため売却費用を抑えられますが、状態が悪いと売れ残ってしまいます。

解体して更地で売却すると、解体の費用を売主が負担しますが、一般的に古家付土地よりも高い価格で早期に売却できる可能性があります。一方で売却期間が長引いた場合、固定資産税における住宅用地の特例が使えなくなるため注意が必要です。

立地条件にもよるため断定はできませんが、築20年を超えると買い手が見つかりにくい傾向にあることや、空き家の解体費用に補助金を出す自治体もあるため、空き家が所在する市町村役場に補助金について確認しておくのもよいでしょう。

以上、空き家の売却には、早く売れる方法を選ぶことが重要となるため、空き家の売却実績がある不動産会社に相談することが大切です。

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